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タコピーの原罪

タイザン5 (集英社 ジャンプ・コミックス)

傑作(30点)
2025年7月13日
ひっちぃ

空腹で動けなくなっているところを小学生の女の子しずかに救われタコピーと名づけられた宇宙人は、ハッピー星の道具を使ってしずかを笑顔にさせようとするが、まだ子供なのか人間のことがよくわからなかった。鬱マンガとして数年前にネットで話題となった作品。

最近Netflixでアニメ化されたらしく、また話題になっていたので読んでみた。ほんとちょっと鬱になったw 気持ちに余裕があるときに読んだ方がいいと思う。

単行本にして二冊しかない作品なのだけど、物語は大きく三つに分かれている。まずは小学生の女の子しずかのことを笑顔にしたいタコピーが無邪気にがんばるのだけどぜんぜんうまくいかない話。彼女は同級生にひどいいじめを受けていた。

作者は藤子不二雄の国民的作品「ドラえもん」に影響を受けていると言うか、陰湿なドラえもんをやりたかったと言っているらしい。いろんな「ひみつどうぐ」が出てきてとにかく明るいタコピーに対して、そんなものに微塵も期待せず拒絶するしずか。異様な雰囲気が描き出されている。

で衝撃的な結末により第一部(?)が終わったあとで、今度はいじめっ子の雲母坂まりなのほうがフィーチャーされる。自分はここからが一番キツかった。一言で言えば「不幸の連鎖」だろうか。きっと世の中ってのはこういう風にできているんだろうなと思った。みんなを追い込んでいる存在もどこかにいて。

その後、東直樹という男の子にもスポットライトが当たる。やっぱりこの子もこの子の地獄を生きている。

で、エピローグにちょっと救いがある。こんな世の中だし人生は嫌なことだらけだけど、それはそれとして生きていこうよって感じ。後半ちょっとダレたけど、ここ読んでああいい作品だなあと思った。

Wikipediaを見てみたら、あらすじが完璧にまとまっていて助かった。しっかり書かれているので作品を未読の人は読まないほうがいいと思う。

ある作品に雰囲気がよく似ているという指摘が紹介されていて、自分もまさにその作品のことを思い出した。どの作品のことか言ってしまうとネタバレになってしまうので言わないことにするけれど、なにかよくわからない底抜けに明るい異質なキャラが描かれていたり、衝撃的なクライマックスが描かれていたりと、確かに共通点は多いなと思った。こっちは正直あまり読後感がよくなかったし、いろいろ考えさせられたけどあまり人に勧めたくない作品だった。

ネットで「~っピ!」っていう語尾で書き込んでいる人を見た覚えがあったんだけど、おそらくタコピーの語尾のつもりで書き込んでおり、正しくミーム(文化的遺伝子)として受け継がれていっているんだろうなと思った。

連載中に何度かまとめサイトで取り上げられていて、途中読者の期待を裏切ったり予想もしていなかった方向に話が進んだりして賛否両論になっていたのだけど、こうして自分で読んでみると確かに分かると思いつつも割ときれいにまとまっているように思った。

アニメにもなったことだし、世界中で長く語り継がれる作品になりそう。一部の人々の間だけだろうけど。アニメの前の時点で累計145万部を発行しているみたいなので、最終的に一千万部以上とかいくのかもしれない。

というわけでぜひ読んでみてほしい。メンタルヘルスが保たれてるときにw

[参考]
https://shonenjumpplus.com/
episode/
3269754496638370192

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