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ハイペリオン二部作
ダン・シモンズ (酒井昭伸訳)
いまいち(-10点) 2002年2月8日 ひっちぃ
二十世紀最高の SF小説らしい。だから期待して読んだのだけど、私はこれのどこが最高なのかよく分からなかった。
読んでいる途中で、会社の先輩に訊いてみたら、この作品はメタSF だという話だった。低俗に言えば、これまでの SF の名作の寄せ集めか? 読みおわってから解説を読むと、解説にも同じようなことが書いてあった。これまで色々な有名SF作品を読んできた読者へのご褒美、と書いてある。つまりだからこそ SFファンは熱狂したのだろう。
私は一応、わずか一握りながらも有名SF作品をいくつか読んでいたのだが、その読書経験がこの作品を読む上で一体何の影響を及ぼしたか全く分からなかった。
事実上の第一部「ハイペリオン」では、七人の巡礼たちが自分の物語を語るオムニバスのような形を取っている。そのどれもが面白いとファンは絶賛するらしいのだが、私からすればどれも中途半端に思えた。聖職者の物語と学者の物語は、先が気になるほど熱中して読めたのだが、結末には煮え切らないものが残った。そもそもこの第一部の結末そのものにも煮え切らなさが残る。
第二部「ハイペリオンの没落」では、第一部で残された謎がきれいに解けるらしいのだが、私にはいまいちよく分からない点が多かった。物語として全然まとまっていない。最後の尻切れさ加減を見ると、恐らく著者は感傷的になりすぎたのではないか。物語の収束のしかたが非常にお粗末で、部品集めの作品は感動まで参照系になる。まるで「この古典を読んでいたらここで泣けるよね」と言わんばかりのシーンを、私はただただ淡々と読むしかなかった。
私がそれでも絶賛できるのは、世界観と翻訳である。
奇をてらわずにかつ斬新さも感じさせる、これ以上ないほどの汎用的な未来世界の構築には感心した。特徴的な各惑星といい、さまざまな技術といい、オンライン世界の描写といい、一歩間違うと陳腐になるような材料をうまく寄せ集めてセンスよくまとめている。
翻訳は、むしろこれを標準的なレベルとしてほしい。これまでの洋物作品の翻訳は、読みづらいだけでは済まないものがあった。なぜ私には、これら粗悪な翻訳の洋物作品が国内の作品と張り合えるのか理解できなかった。しかしこの作品に関しては、翻訳のせいで読みづらいということはなかった。横文字で示してもよいのを漢字に変換する判断のバランスはちょうどいい。
今回この作品を読んでこのような感想になったことについて、私は不安になった。多くの絶賛を浴びたこの作品がなぜ私にとってつまらないのだろう。私の受け取りかたが変なのだろうか。
(最終更新日: 2002年2月13日 by ひっちぃ)
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コメント
翻訳者を m 翻訳についてふれているし、翻訳者の名前も挙げておいてくれると嬉しいです。
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