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    CHAi 創刊3号 特集記事

    まあまあ(10点)
    2002年10月30日
    ひっちぃ

    「世界をおもしろくする中国マガジン」と銘打った雑誌の特集記事。中文産業株式会社という聞き慣れない会社が発行しているようだが、見た目や内容はメジャーなグラビア雑誌と比べても遜色ない。値段的に割高で薄いあたりがマイナーっぽい点だが。

    いきなり 24人の中国人への質問とその回答が写真入りで載せられている。この構成は、読者が何を知りたがっているのかをよく掴んでいて感心した。日本のイメージ、日本人の好きなところ嫌いなところ、好きな日本の料理やブランドや映画や人やドラマなど。わりといろんな意見が幅広く寄せられていて興味深い。いちいちここで紹介していられないのだが、半分は予想の範囲内で、もう半分は意外なものを挙げている。挙げられたものはどれも当たり前なものなのでそれら自体に注目してもしょうがないものばかりだが、範囲が広いことに驚かされた。好きな車は?の問いに「トヨタと言いたいところだけど、いまはFordを売る仕事だから嫌い(笑)」なんていうユーモアなものもあってほほえましい。もちろん侵略系のものを挙げる人もちらほら。

    続いて中国に進出していった日本企業をいくつか特集している。グリコのポッキー、キリンの各種飲料、日清のカップ麺、資生堂、トヨタ。ただ日本企業とその製品が優れているといった内容ではなく、これらの企業がどうやって中国市場にあわせたマーケティングや製品づくりをしていて、それがいかに受け入れられているかを紹介している。

    それから日本の音楽・ファッション・テレビドラマ・アニメがそれぞれ見開きで挙げられている。写真の比率が半分ぐらいで、現地の雑誌やモノや雑踏の写真はどれも興味深い。もちろん文章による説明もいい。まあ日本文化を持ち上げてくれているからというのもあるのだけど。私が特に興味を持ったのは、ファッションだ。中国はファッションではまだ一部の人しか目覚めていないというのだが、これから中国でもっともクールな人々となるのは、果たして欧米の影響の強い人たちか、それとも日本の影響の強い人たちか。日本のファッションもそりゃ欧米の影響が強いのだけれど、それでもパッと見てすぐに日本っぽいと分かる独特のものがある。そのセンスが中国で受け入れられるかどうかはとても興味深いと思うのだがいかがだろうか。

    そして最後もやってくれた。中国人120人に聞きました!という企画の題して「ニッポンのココが好き、ココが嫌い」面接方式によるアンケートが三ページ九項目載っている。10代から70代を対象にしているせいか、回答がやや散漫なように思えるが、それでもなかなか興味深い結果になっている。

    好きな日本人のトップが中田で、以下山口百恵、木村拓也、酒井法子、高倉健、宇多田ヒカル、村上春樹。嫌いな日本人のトップが小泉純一郎で、以下山本五十六、東条英機、石原慎太郎、昭和天皇、岡村寧次、藤原紀香、高倉健。中田や小泉がそれぞれトップなのがまず意外だが、どうして藤原紀香が嫌いなのだろうか。

    好きなアニメではスラムダンクがトップ。続いて同点でちびまる子ちゃんとドラえもん。その下にはクレヨンしんちゃんとドラゴンボール。そういえばクレヨンしんちゃんといえば中国共産党が有害な作品だと指定したという記事を見た覚えが…。

    日本人の特徴で好きなところは、礼儀正しいがトップ、続いて真面目・勤勉・約束や時間を守る。嫌いなところが「歴史に対して誠実でないところ」とはまあ予想通りだが、二位が「中国人に対する傲慢な態度」というのを見て笑った。なるほど。そういうものなのか。同点に「狡猾でずるい」というのも面白い。それから備考として、礼儀正しい裏で実は冷たい、みたいな答えも多かったようだ。

    おっとこれで最後ではなかった。最後に中国駐在員つまり日本人で中国で仕事をするために滞在している人たちの声を集めている。特にこれといって目をひいた部分はなかったが、中国での生活がどんなものかが多少は窺い知れる。

    読んでみてつくづく感じたのは、やはりまだ我々にとって中国はよくわからない場所なのだということだ。近代化されて都市部は日本とそれほど変わらないだとか聞くのだが、彼らの物質的な生活についてはだんだん把握できてきたものの、文化的・精神的なものについてはまだよく分からない。中国製のテレビドラマなんかを日本で放映してくれるとよく分かりそうなものだ。オリエンタリズム丸出しのやつではなくて。

    [参考]
    http://www.chai.ne.jp/

    コメント

    藤原紀香 わたなべ
    彼女は台湾行ったからじゃ?

    詳細

    manuke.com