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    林真理子

    いまいち(-10点)
    2003年4月24日
    ひっちぃ

    薄給だがファッション誌の雇われライターに生きがいを見出しているバツイチの良家のお嬢さんが主人公で、映画評論家の中年男性に惚れる話。同時並行で、親友で宝塚の中堅クラスの女優・千花が同年代の歌舞伎役者と付き合う話が進む。

    作者は林真理子。この人の文章や人となりは、週刊文春で連載されているエッセイで大体分かっていたが、作品を読んだのは私はこれが初めてだった。どういうファン層がいるのか知らないが、本人は写真で見て分かるとおりあまり美人ではないが、地位の高くてハンサムな男にわりとモテているらしい。若くてキレイなことが女の価値じゃない、といったところだろうか。

    それで作品を興味深く読んでみたら、うーん、若くてキレイなものを賛美している感じ。まあさすがに中身が空っぽじゃダメだよってのは押さえているけど。主人公はまあほどほどに美人で、親友の宝塚女優・千花はオーラがでるほどの美人。エッセイと共通する点は、社会的地位の高い人々との付き合い、というなんとも言えない点。

    なるほど、林真理子はこういう小説を書く人なのか、と一人合点して毎週毎週週刊誌に連載されていくのを読んでいった。読み物として面白い。よく描けていると思う。私はどうも心の底から主人公とその親友という二人の女性を好きにはなれなかったが、わりといい感じでストーリーは進んでいった。

    しかし途中で主人公が中年の映画評論家に惚れだしたときは、アレ?って思った。なぜこの男に惚れるのだろう。どこか読み落としたのだろうか。突如沸いた衝動で、その男の家を訪れ、抱きつく。冷静に跳ね除ける男。とまあそのへんの描写はいい感じなのだけど、なぜ惚れたのかがサッパリ分からなかった。しかもなんだか人間関係のドロドロが待ち受けてるようだし。

    一方で千花の方は、人気歌舞伎役者に振り回されるという感じにリアリティがあり、先行きも楽しみになってきたのだけど、なんだか平凡な感じがしてきてしまった。二三週くらい前のところでは、普段モテてモテてしょうがないあまりちょっとプライドの高い千花が、鼻を折られて憤ったあとでしおらしくなるあたりが魅力的だなと思った。だが、そのあとの展開にまったく楽しみが持てなくなってしまった。

    そんなわけで、そのあとつい読むのをめんどくさくなって読み飛ばして以来、読み進めるのをやめてしまった。もうあとは勝手にやってくれって感じだ。こういうのが好きな人だけ読んでればいいや。

    うーん。週刊連載って厳しいよね。本になってから手元にあったらどうなってたか。そもそも若い男が読むような作品じゃないのかもしれないな。

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