GANTZ
奥浩哉
まあまあ(10点) 2004年4月28日 ひっちぃ
一度死んだ人間を集めて生き返らせ(?)、ミッションを課す謎の宇宙人GANTZ。その姿は機械と同化し、声は一言も発しないが、機械の端末を通じて妙な日本語の文章でコミュニケーションを図る。かなり強引な指示で、訳もわからないまま犯罪者宇宙人の殺害指令を受け、うろたえながらもゲームチックな流れでそれをこなさなければならない。そうしなければ本当の意味で生き返ることが出来ないからだ。
同僚に勧められて読んだマンガ。かなりスプラッタ。バラバラ死体。若干のエロ。
主人公の青年にかつて憧れていた長身で誠実な若者加藤。そんな加藤の眼差しを逆に不愉快に思う青い主人公。青年誌の筋書き通りに動きながらも、重い現実に深い悲しみを感じるヒロイン。現実を受け入れ殺戮ゲームを楽しみ主人公と敵対する中学生の少年。一緒に送り込まれるやくざやチーマーや暴走族。
作品の各要素が中途半端。中途半端だから逆にリアルに感じることが出来るのかもしれないが、3巻まで読んでみても大して物語が進んだ気がしないし、これだという展開がない。正直、最初の1巻だけ読んで終わりにしようとさえ思った。週末の楽しみとして2,3巻を買ってみた。確かに面白いことは面白い。先も気になる。単に密度の問題なのだろうか。
主人公と加藤との対比は気になる。作者が物語として一番重点を置いているように思う。この二人をどう描いていくのか。加藤という虚像との対比で、主人公の成長だとか人間味のあるところとかを描きたいのだろうか。
マンガの技法が変わっている。コンピュータでモデリングツールを使って登場人物を CG にして上から絵を描いているらしい。なるほど、そう言われてみれば、CG ならではの描写が多い。実のところその描写は「フーン」という感じなのだが、マンガの可能性を見せてくれたという点では興味深い。
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三巻までしか読んでないと推薦者に言ったところ、「GANTZ」は 5〜7巻あたりで山場があると言っていたので、帰りに 4〜7巻を買って読んだ。ゲームが終わった一時過ぎからちょっとだけ読んで寝ようと思っていたのだが、結局買ってきた四冊全部読んでしまった。そのためちょっと寝不足気味である。なんだかんだで面白く、続きが気になる。
なんというか、ドラゴンボールに似ているところがある。ひたすら長い戦闘シーン。戦いの描写もドキドキするのだが、それより戦闘結果やその後しばし訪れる日常の描写が待ち遠しい。やっと天下一武道会が終わった、みたいな感じだ。そしてまた戦いが訪れる。
シリアスな話なのだが、作者のギャグセンスが非常にいい。GANTZのすっとぼけたメッセージや(アジアとかで出回ってる間違い日本語風)、ふざけてるとしか思えない敵の宇宙人(「田中星人」ってなんだそりゃ…外見も笑える)。この作品の魅力は、ギャグ:ストーリー:エロ:グロが5:2:1:1って感じ。
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で飛んで11巻。やばい。新宿大虐殺。10巻の反動か。10巻ではほとんど戦闘シーンがなく、物語中心で進んだのだが、読者のファン投票でランキングが落ちていったらしい。11巻ではひたすら虐殺虐殺虐殺を描いている。作者ヤケになってるんじゃないだろうか。ヤングジャンプの読者層がどんなものか分からないが、いい作品を育てて欲しい。それとも、うーん、これがエンタテインメントってやつですか??
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