メイプル戦記
川原 泉
いまいち(-10点) 2004年12月4日 ひっちぃ
日本のプロ野球に13番目の女性だけの球団メイプルズが生まれ、ペナントレースを戦っていく話。
一応「甲子園の空に笑え!」の続きになっている。豆の木高校の野球部を高校野球で優勝させた女性生物教師広岡監督が、札幌にある製菓会社のおばあちゃんオーナーからスカウトされて、チーム編成からなにから任される。
痛快ではあるが、ぬるい。ソフトボールの日本女子代表なんかを見ても、身体能力のある選手でしかやっていけないことが分かる。明らかに小柄な四つ子姉妹とか、良家のお嬢さんがいく学校の二人組とか、バブルの申し子のギャルなんかが活躍できるとは思えない。
野球を題材にするのって本当に難しいと思う。特に少女漫画雑誌で連載するのなら、微妙な機知が描きにくい。加えてペナントレースなので130試合以上ある。勝った勝った負けたとか、連勝連勝連敗とか、これ以外に描写しようがないんだろうなと思うとなんともいえない。
人間ドラマも川原泉にしてはさっぱり。二人の重要人物がいるのだが、一人は遊び好きの有名球団エースの妻で、もう一人は男で高校野球で大活躍したピッチャーだけどキャッチャーに恋心を持ってしまい失踪してオカマになって報われぬ愛に身をこがす青年。なんか結末もいまいちで、慣れぬものを描いてしまった感じ。作者が得意とするマイペース系の主人公女性監督も、前作の縁でコーチとして引っ張ってきた高柳とは何も進展せず、よかったねよかったねで終わってしまう。
決してこの作品がつまらないわけではないが、いまいち感がある。
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