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  • 幻想水滸伝3

    コナミ

    傑作(30点)
    2004年12月4日
    ひっちぃ

    中国の四大古典文学の一つ「水滸伝」から着想を得て、群雄割拠する独特なファンタジー世界の動乱の中から、108人の英雄が拠点に集まり世を平定する人気RPGシリーズの第三作。

    通常RPGと言えば、一人から数人の主人公をプレイヤーが操って冒険をするのだが、このシリーズにはなんと108人もの登場人物がいる。戦闘要員のほかに非戦闘要員もいるので全員ではないのだが、それでも数十人もの登場人物の中から好きなのを選んでパーティを組んで冒険をするというのは類を見ない。

    それだけ登場人物がいれば、使うやつは使うけど使わないやつはとことん使わない。それがこれまでのシリーズの欠点の一つだった。今作では、三人の主要登場人物が用意され、平行して話を進めていく方式にしたことで、より多くのキャラクターに愛着が持ちやすくなっている。しかもその三人が、それぞれまったく違う立場から行動し、時には戦いあい、時には手助けし、最終的には一つにまとまるというのだから面白い。

    一人目の主人公は、大人になったばかりのカラヤ族の族長の息子ヒューゴ。愛馬のグリフィンのフーバーと、ダンディーなアヒルのジョー軍曹が最初の仲間だ。アヒルなのに渋くて笑った。二人目の主人公は、カラヤ族たちと戦う商人国家ゼクセンの女騎士団長クリス。配下の騎士たちの中でも側近の六人と行動を共にする。三人目の主人公は、隣国ハルモニアの傭兵小隊長ゲド。互いに過去のことを語らないが仲の良い配下の傭兵を従えて調査をしている。四番目の主人公と言っていいトーマスについては、ネタバレになるので詳しくは書かないが、ほのぼのとした展開がいい感じ。

    フィールド上のキャラクターのグラフィックスはデフォルメされた3Dのアニメ調だ。これがとても完成度が高くて驚かされた。会話のときにメッセージボックスに各キャラクタの顔のドロー系の絵が表示されるのだが、フィールドグラフィックスのレンダリング系の絵とそっくりなのだ。よくまあここまでうまくモデリングしたものだと思う。このグラフィックスでMMORPGを作って欲しい。ああ、幻想水滸伝MMO…。

    音楽も楽しい。ハードの性能が上がり、生音楽さえも使えるようになり、音楽も豊かになったが、記憶に残るほどの印象的な音楽を使ったゲームが少なくなったように思う。このゲームの音楽は割とキャッチーでわかりやすくていい。特にボス戦の音楽が気に入った。せきたてるような低音のストリングスが特に迫力あっていい。

    脚本で言っておきたいことがある。やたらと「!」を使ったり、笑い声が「はははははははは」と長すぎたりするのが目につく。会話の中身がそこそこいいのに残念。会話内容に関しては、どれもキャラクターの個性を引き出していていい。これだけ仲間がいると、メインストーリーに絡んでこない個々の人物に焦点を当てられないのだが、それをうまく目安箱や風呂場などで表現していて、非常に奥行きが深い。

    ストーリーはよく出来ている。マルチシナリオにより情勢を多面的に捉えさせるという試みはうまくいっている。極めつけは108人全員の仲間を揃えたときに初めてプレイできる第六主人公だ。おまけ的な扱いで、あまり作りこまれていないが、やってみて初めて分かることがあり、ごほうびとしてはいい感じ。前作や前々作と違って仲間全員集めるのにそれほど面倒がないので、攻略サイトを見てでも全員集めてみよう。仲間への返事さえ間違えなければ、最後の最後になってもまだ仲間を集めることが出来る。

    マップが思ったより狭かった。たぶんモデリングの手間が掛かるからだろう。その分、一つ一つのマップがよく作りこまれており、マルチシナリオによって使いまわされていても一つ一つの場所に愛着が持てる。

    戦闘システムは、パーティの最大人数が六人なのだが、二人一組のバディという単位で煩雑さが少なくなっており、コンパクトにまとまっていて良い。行動ごとに発動時間が決められており、戦闘フィールドは恐らくヘックス(六角形を組み合わせたサッカーボールみたいなマス状)になっていて、移動にも時間を消費するようになっており、擬似リアルタイムな集団戦を楽しめるようになっている。

    登場人物が多いと、キャラクターの個性を出すのが難しかったのがこれまでのシリーズだった。今作では、経験値とレベルのほかに、スキルポイントを獲得して消費することで成長させるスキル制が導入されている。キャラクターごとに設定された固有スキルや各スキルの才能を元に、プレイヤーはキャラクターを好きなように成長させることが出来る。パーティの盾となる重騎士系のキャラでも、鎧防御が得意なムーア、盾防御が得意なフレッド、HPが0になっても耐えられる可能性が高くなる底力に優れたレオがいて楽しい。

    私はあまりのめりこめなかったが、やり込み要素がいくつも用意されている。目安箱に各キャラクターからランダムに来る手紙は個性的で面白い。出来るだけ多く読みたいのだけど、時間制なので面倒だ。内容をまとめた攻略サイトには世話になった。目安箱だけではなく、風呂場や劇場や犬会話や探偵なんかがあって、とてもではないが全部やりきれない。大好きな人だけやればいいということか。ただ、キャラ萌え的な要素が大きく、プレイヤーの想像力で補って欲しいという姿勢がありありだ。ストーリー全体を見渡しても、すべては各キャラクターの性格付けのために物語が存在するかのようで、ちゃんとした物語を楽しみたい人からすると退屈だと思う。ハッキリ言うと、おたくのための作品になっていて、これで同人誌でも作って楽しんでね、みたいな感じ。

    私がプレイした感じでは、戦闘の難易度にブレがあったように思う。中ボス戦が突然強くなって慌てたりした。ライトゲーマーにはつらいかもしれない。

    炎系の魔法が非常につかいづらかった。なにせ範囲に味方が巻き込まれてしまってあっさり死んでしまうのだ。途中から使わなくなった。範囲に味方を巻き込まないようにすればいいのだが、バディ制で片方が魔法や技やアイテムを使ったりすると、もう片方は自動的に突撃していってしまうので、なかなかそうもいかないのだ。一応魔法が発動すると行動力の余力を使って味方が逃げてくれるのだが、あまり期待できなかったのでもうちょっと考えて欲しかった。何かコツでもあるのだろうか。一方で、その他の魔法のバランスが非常にいいと思う。MP使ってバカバカ魔法を使うのではなく、魔法のグレードによって使用回数が決まっているところとか、単体のみ・二人組・範囲・全体と種類があり、回復魔法に重みがある。

    魔法には詠唱中断がある。なので魔法を使うキャラクターは後列に置いて使ったりするのだが、敵があっさり回りこんできてしまう。せっかくヘックスにしてキャラクターの位置を重要にしたのに、フォーメーションにならないのであまり意味がない。細かく移動場所の指定をやると面倒になるので、だれそれを守るとか、前列で壁を作るとか、そういうおおざっぱな戦術が決められると良かったんじゃないかと思う。

    やらなきゃ後悔するというような作品ではないが、この作品にはRPGの一つの進化形を見ることができる。

    [参考]
    http://www.konamityo.co.jp/
    genso/
    index.html

    コメント

    う〜む 芋愚
     私がプレイしてみたところ、残念な結果となった。
    ...
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