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    幸田真音

    まあまあ(10点)
    2006年11月10日
    ひっちぃ

    外資系証券会社で働くヒロインが、小さい頃自分を省みずに働いていた父親に復讐するため、時代の寵児のようなファンドマネージャにその会社の株の取引を持ちかけ、それが買収合戦につながっていく。

    作者は金融小説で有名な幸田真音。週刊文春連載。

    いきなり批評に入るが、途中まではすごく面白かったのに、ヒロインが父親の会社に行ってから話が急にしぼんできてつまらなくなる。とても残念だった。相馬に司直の手が伸びそうになることとか、父親の会社がとった防衛戦略の成否、それに何よりヒロインと父親の関係が全然清算されずに物語が終わってしまう。

    私はこの作品を毎週楽しみに読んでいて、一番楽しいときは週刊文春を買って一番にこの連載小説を読んでいた。

    どこが面白いかというと、日ごろ新聞をにぎわすTOBや企業価値や何たらファンドとかいう世界を、そこにいる人々の視点から描いているところだ。株を買い集めるために地銀周りをしたり、やり手のファンドマネージャと丁々発止のやりとりをしたり、買収に乗り出した企業の裏で繰り広げられる取締役会の様子がいい。

    この作品はこういうディテールで楽しめばいいので、それ以上を期待してはいけないのかもしれないが、結末がバッチリ決まっていたら印象が全然違ってくると思う。週刊連載だから時間がなかったのだろうか。

    どういう結末だったら良かったんだろうか。あっと驚くような買収劇の結末を用意する、社会問題を提起する、父娘の愛憎劇に収拾をつける、ヒロインの行為を取り返しのつかないものにする、アクションシーンを用意する(?)。

    新聞をにぎわす金融関係のニュースに興味がある人には勧められる。

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