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    監督:源孝志 脚本:中園ミホ 原作:江國香織

    まあまあ(10点)
    2007年2月24日
    ひっちぃ

    既婚女性と若い男の子との何組かの交際の過程と結末を描いた作品。夫に分からないよう行動を制限しなければならないために身勝手に動く女性と、それでも一途に愛を求める男の子が、周囲の力によって引き裂かれるさまを、冷徹な視点で描いている。

    私はこの作品を何か別の作品と勘違いして録画したようだ。観てみてびっくりした。懐かしい昭和を描いた作品だとばかり思っていた。だからますます序盤の退屈な展開にうんざりした。

    これは既婚女性のファンタジーだ。この作品に出てくる男の子たちにはそれほどリアリティがなく、女性による理想像となっている。これは多分わざと狙っているのだろう。そんなかわいい男の子を相手に、大人の余裕ある交際を主導権を持って楽しむ既婚女性。女ウケもするだろうし、この作品の大きなテーマに関わっている。正直男の私には「ケッ」って感じだったが。

    ところがこの禁断の愛は、周囲の人々によって醜く引き裂かれていってしまう。こんなに醜くしちゃっていいのっていうぐらい無残な展開になる。しかしそれでも愛を肯定する。社会性と愛とは完全に別々のものなのだという作者の強い主張があるように思った。

    観終わったとき、この作品に対して自分でも予想外に好感を持った。これ男女入れ替えるととんでもない話になるんじゃないかと思ったが、不思議にこの作品にはそこまで感じなかった。それは、この作品に登場する女たちが必死なところを見せているせいだと思う。これが逆に入れ替わって既婚男性が必死な感じだったらうーんな感じなんだけど。既婚女性は男性と違って、肉体的な衰えが大きいこと、経済的に男性に依存しがちなこと、社会的に孤立しがちなことがあるからだろう。

    浮気された夫で岸谷五郎が静かな迫力があって良かった。後半のアクションシーンも舞台込みで格好よかったし。平山あやの人懐っこくて不気味なところも魅力的だった。黒木瞳は正直最初マンネリな感じがしたが、多分この手の作品に沢山出すぎたイメージのせいだろう。くすんだ中にある美貌が、後半みじめな姿にさせられるところは、ちょっとドキドキした。

    この作品の最大の突っ込みどころは、東京タワーほとんど関係ねー!若い男が年増女に惚れるか!という点にあるが、そこさえ乗り越えれば悪くない話だった。特に、結末の暖かさは心地よかった。

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