オトメン(乙男) 1巻
菅野文
駄作(-30点) 2007年5月28日 ひっちぃ
剣道の腕が全国一の美形の男なのに乙女チックなものが大好きな主人公・飛鳥が、自分の性格に悩みながら吹っ切れていくまでの騒動を描いた少女漫画。
そこそこ注目されている作品だったので買って読んでみたが、ちょっとレベルが低い。
まず主人公が長身美形で運動神経抜群でケンカも強い。引いた。このキャラクタはナシだと思った。幼少期に父親がニューハーフ宣言をして家を出て行ったことから、母親に厳しく躾けられて過剰に男らしく育てられた、という設定は理屈では悪くないと思う。でも極端すぎる。ギャグならいいんだけど。主人公がわりと丁寧に描かれていて、真面目路線を狙っているからチグハグな感じがする。
裁縫や料理やメルヘンや少女漫画が好きなところが日常生活で時折のぞいてしまうのは面白いんだけど、もう序盤から身近な人にはバレバレになり、メリハリのないユルい展開になってしまっている。そのうえ、ヒロインもとってつけたように実は男っぽい粗雑さを隠しているというのにはあきれた。さらにヒロインの父親とのエピソードも全く予想通りの展開で面白みがない。第二の主人公・橘の大胆な設定も空振り気味だ。
作者は思い切った設定で物語を作り上げているが、この人はもっと自然な話のほうが向いていると思う。着眼点は良かったし、現に売れているようなのだけど、この手の作品を描くには最初はもっと人物造形を割り切った方がいいんじゃないだろうか。で、展開が進むにつれて深く描いていくと。
にしても、女がオカマ芸能人を好きなのは彼らが女に憧れているから、という仮説がこの作品によって別の角度から補強されたように思う。男はボーイッシュな女がここまで好きでもないのになあ。あ、私は大好きだけどね。でも少数派だ。
この作品で一つ光っているのは、最近の女が乙女じゃなくなっていることへのギャグに一通り笑ったあとで、シリアスにさせられたことだ。なんだかんだでこの作品は、男が乙女チックな趣味を持っていることを笑い飛ばしつつ、乙女っぽいものを肯定的に捕らえようとしている(?)。じっくり描いていけばすごい作品になる可能性を秘めていると思う。
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