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    PEACH-PIT (KCなかよし)

    まあまあ(10点)
    2008年6月21日
    ひっちぃ

    小学生の女の子・日奈森あむは、周りからはクールでかっこいいと思われていたが、実は素直ないい子になりたいのに口下手でひねくれた面が外に出ているのだった。そんな自分の「外キャラ」が嫌で嫌でしょうがなかったある朝、不思議なタマゴを三つ産んで(?)しまう。タマゴから生まれた「しゅごキャラ」が、彼女のなりたい自分を目覚めさせようとする。

    講談社の小学生向けのマンガ雑誌なかよしに連載されている少女マンガ。作者はローゼンメイデンなどで有名な二人組の漫画家PEACH-PIT。アニメ化されたのを見て面白かったものの、途中の間延びした展開にうんざりして視聴をやめてしばらくしたのち、原作はどうなっているのだろうかと気になったので買って読んでみた。

    まずヒロインの日奈森あむがとても魅力的。活動的で突っ張っているように見えて実は内心不安だったり人見知りしたりしている。特に、本当は学園の王子様こと辺里唯世のことが大好きなのに、いざ初めての接触となると「用もないのに気やすくさわらないでくれる。おちびさん」と言ってしまい、家に帰ってから大後悔するところ。

    絵も素晴らしい。小学生なのにまるで私立の中高生のようなネクタイつきの制服を崩して着こなすヒロイン。バッテンマークのアクセサリが象徴性を持ちつつアクセントになっている。キャラチェンジ(一時的にキャラが開花した状態になること?)するとバッテンのマークがハートマークとかになったりする。

    ハートマークのキャラはランで、サンバイザーをかぶったチアガールの小人のなりをしていて、普段は主人公のかばんの中とかに潜んでいる。この作者の描くキャラのデザインはとてもレベルが高く、特にこの作品ではランが私好みでかわいい。こいつがいたずらして主人公の性格を一時的に変えたりする。また、「キャラなり」といって魔法少女ものみたいにこの「しゅごキャラ」の格好に変身して超人的な力を発揮できたりする。

    じゃあ何と戦うのかというと、エンブリオという何でも願いがかなうタマゴを探して子供たちを狙う謎の企業イースター社の面々だ。性格悪くて敵なのになぜか時々自分を助けてくれる猫少年とか、表ではアイドル歌手をやっているが裏では主人公と対立する美少女なんかが出てくる。

    主人公が通う学園(繰り返すけど小学校)には生徒会みたいな組織としてガーディアンというのがあって、役員ならぬガーディアンたちはお勉強できそうなケープを羽織っている。ヒロインがあこがれる王子もその一人。こうしてみると、意地の悪い言い方をすると、読者が好みそうな設定を結構詰め込んでいるなあと感心する。

    同じ作者のローゼンメイデンは話の筋や語りが弱すぎて途中で投げ出してしまったので、今回は慎重に一巻二巻ずつ買い足していったが、最終的に現在刊行されている六巻まで買ってしまった。どうしても先が気になるほど面白いというわけではないが、普通に楽しめて満足した。ちょっと話の内容的にどうしても弱い部分が多いのだけど、時々出てくる真剣な感情とくにキャラがらみのものが良かった。誰でも少しは抱えている問題だろう。

    マンガ表現の問題として、絵が動いていない。決めの絵の出来は良いのだけど、止め絵と止め絵をつないでいるみたいな感じがして、読んでいて途中で一体何があったのかよく分からなくなることがたびたびあった。ワンピースとか読んでいてもそう思うし、読者は大して気にしていないようだから、最近のマンガはこういうものなのかもしれないなあ。

    巻が進むにつれてヒロインが色んな男の子に目移りしていくのも節操ないなと思った。描かれ方もテキトーな感じがした。誰とも特に進展してない。最終的に誰かと仲良くなるのだろうか。猫少年と王子様が二大本命か。

    ちなみにヒロインの変わった名前あむはamから取っているらしい。I amの。普通に気づかなかった。あむちゃんあむちゃんって変わっていてセンスのある名前だなあと思っていたので、作者が欄外で説明していて改めて少し感動した。

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