女子高生 2巻まで
大島永遠 (双葉社 High Action Comics)
傑作(30点) 2008年9月23日 ひっちぃ
中高一貫の女子校に高校から編入する仲良し三人組が、女子校生の恥じらいのない実態に驚き呆れ、中学からの進学組である内部生との確執を経て、徐々に同化して楽しい高校生活を送る話。ギャグ漫画。
「マリア様がみてる」などで描かれるような幻想のお嬢様学校としての女子校ではなく、本物の女子高生を描いた作品として2ちゃんねるなんかで語られている作品。
下品だと聞いていたので自分は受け付けないんじゃないかと本気で心配しながら怖いもの見たさで手にとってみたら、予想外にさわやかな作品で普通に読めた。
表紙の絵がセル画っぽいアニメ絵なのだが、中を開けてみると案外古いタッチの親しみのある絵だった。正直あまり個性は感じない。何かの学校や教則本で勉強した人なのだろうか。王道を行く絵はやや物足りなくはあるが十分な表現力を持っている。
女子校の実態ネタは思ったほど比率として高くはない。新体操部は練習で処女膜が破ける、水泳部は生理中でもプールに入ることがあって血が垂れ流しになる、なんていう面白いネタが時々挟まれる。あっさりさわやかに描かれるのでいやらしさがないのがいい。
処女と非処女の境界という踏み込んだテーマがあるが、合コンで抜け出した非処女の女の子が友達に筋を通して簡潔に事実だけ報告するという落ち着いた描写をしていたりと、安易に興味をかきたてるようなことをしていない。
少年誌に連載されていたせいか、結構少年マンガ的な感じ。弟の友達と本気で接して突然キレたり、結構インドアで面倒くさがりだったり、色恋にあこがれていたりと、男から見て好感がもてるようになっている。そういう意味ではまだ本当の女子高生とは離れているのだろう。本当にリアルな女子高生ものをこの作品に期待することは出来ないんじゃないだろうか。
主役級の登場人物たちは明るくボケる。ちょっと古いギャグマンガ的な振る舞いに軽く辟易するが、奇をてらっていないので素直に笑える。暖かい笑いだ。みんなそれぞれ魅力的で、外部生で学力は高いが抜けたところのあるストレートヘアの絵里子、メガネでおさげで地味キャラだけど一番最初に彼氏を作るいじられ役の綾乃、頭が悪くて運動能力が取り柄の暴走キャラ由真のほか、この三人といつのまにか仲良くなった内部生の香田の体を張った天然ボケが面白い。
友達同士の喧嘩を扱っている点も私の中ではポイントが高い。
なぜ表紙を安っぽいアニメのようなセル画風にしたのだろうか。安直なタイトルと併せて購入をためらわせていると思う。中身に合わせてもっとやわらかい感じにしたら良かったのに。
正直決め手に欠ける作品ではあると思う。あけっぴろげな女子高生ネタもギャグもそれぞれ良いのだが、これぐらいは大したことのないレベルだ。積極的に読み進めたいと思う理由にはならない。それに少し古さを感じる。しかし私はキャラの魅力に一押しされたのでもう少し読み進めてみることにする。
aikoとか大塚愛みたいないかにも男ウケするような女の子なんかより、この作品に出てくる女の子のほうが魅力的だ。
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