パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち
ゴア・ヴァービンスキー監督
まあまあ(10点) 2010年5月14日 ひっちぃ
総督の娘が海賊船ブラックパール号にさらわれた。身分違いの恋に身を焦がしていた鍛冶屋の青年は、彼女を助けるため、その海賊船の元船長でいまは部下に裏切られて海軍に捕まっているジャック・スパロウに手助けを求める。ディズニーランドの「カリブの海賊」をモチーフに、怪優ジョニー・デップが主演する人気海賊映画シリーズの第一弾。
娯楽大作として割と評判が良かったみたいで、最近テレビで過去四作一挙放送(要は最新作のプロモなのだけど)していたので見てみた。
どんなストーリーなのか知らなかったので、へんな意味でドキドキした。海賊映画というからには海賊側が主役にならないといけないだろうから、いったいどういう構図に持っていくのだろうかと気になった。ジョニー・デップ扮する海賊ジャック・スパロウが小さなボロ舟に乗って登場するのがウケた。なるほど、最初に強力な海賊船長として登場しちゃったら主役にはならないわなあと感心した。
副題の「呪われた海賊たち」というのは、かつてコルテスに滅ぼされたインカ帝国の人々が掛けた呪いによって、メダルを手に入れた海賊たちが不死の存在となって苦しんでいることによっている。
基本的には鍛冶屋の青年が総督の娘を助けに行く話なのだけど、それに付随して、自信を失った一人の海賊が自分を取り戻すために戦うという物語が絡む。幕間にちょっと人間くさい一面を見せたりする。
とまあそんな製作者側のあからさまな意図が終始感じられた作品だった。なんかストーリーがすごくわざとらしく感じた。黒人や女の海賊が出てくるところもハリウッド的なバランス感覚なのかとうがって見てしまう。特に最後のシーンはいやらしかった。ある意味、妙に日本人好みではあったと思うけど。
私がこの映画を見て何に一番感動したかって、海賊がとてもリアルに小汚い点にだった(笑)。今年のNHKの大河ドラマ「龍馬伝」も特に俳優たちの格好が小汚い点が注目されている。なんでもかんでもとにかくリアルにすればいいというものではないと思うけれど、そのほうが真に迫っていてイマジネーションも膨らんで面白いと思う。海軍の兵士たちのこぎれいな格好も対称的で映えていた。
海軍の追っ手を振り切った鍛冶屋の青年と海賊ジャック・スパロウが新たな水夫を雑多な港町で徴募するシーンも良かった。船の上や洞窟での戦い以上に、こういったシーンが世界観を膨らませるのに大いに貢献していると思う。
海賊の雰囲気とアクションが楽しめ、王道のストーリーはまあオマケだけど作品をきっちりと完結させていて、一言で言えばよくできた映画だと思う。その分、人間ドラマとしては見え透いているように思うのだけど、そういうのを楽しむ作品ではないのにちゃんとそういう要素も入れていると見ればうまい。まあ真面目キャラを鍛冶屋の青年だけにして海賊ジャック・スパロウは最初から最後までハチャメチャのボケ役にしても良かった気もするけど。
さて本作品が海賊モノという点について、日本のマンガでご存知、尾田栄一郎「ワンピース」との関連がないのかという点が気にかかるのだけど、公式ではまったく関係がないらしい。ただ、ディズニーランドの単なるアトラクションである「カリブの海賊」から純粋に派生したという主張には首を傾げる。ハリウッドと日本のマンガやアニメは互いに強く影響を与え合っていることは事実なのだし、私はなにかしらワンピースの影響があるのではないかと睨んでいる。
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