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    AKG

    傑作(30点)
    2011年2月1日
    ひっちぃ

    オーストリアの音響機器メーカーAKGの開放型ヘッドホン。特殊なものを除いて同社の一番上のモデルだった。黒など暗い色が多い大型ヘッドホンの中で、目にも鮮やかな白いデザインが特徴。日本では最近アニメ「けいおん!」で人気女子高生キャラクターが本製品を使っているシーンがあったことから、一部のマニアの間では同キャラの名前を取って「澪ホン」と呼ばれている。

    サウンドハウスという音楽関係で有名な通販サイトでケーブル類を買うついでに思わず衝動買いしてしまった。なにせ日本では正規の代理店を通すと家電量販店でも八万数千円もするものが、サウンドハウス(通称「音屋」)では代理店を通さず直輸入で仕入れているらしく、最安24,800円で買えた。ただし、つい最近ディスコン(製造終了)になったため、後続のK702やQ701に置き換わりつつある。

    このヘッドホンの特徴は、高級ヘッドホンらしく高音から低音までバランスよくフラットに音が出るほか、ぎゅっと凝縮したような濃厚な音がすることだと思う。特にアコースティックな楽器(生楽器)を主体とした音楽に強いんじゃないだろうか。反面、ノイズ成分が強い過激な音楽、たとえばジャリジャリなギターとかハモンドオルガンなどディストーションだのサチュレーターだのの効いた音楽には向いていないように思う。向いていないと言っても音を丸めてくれるので耳に優しく人によっては聞きやすくなるかも。

    私は同社のヘッドホンをこれ一つしか持っていないので以下はネット上の評判を聞きかじったものだけど、一つ下位のK601のほうが能率が低いもののちゃんと鳴らしてやればこのK701よりもいい音が出ると主張している人がいた。また、K702はK701のケーブルを着脱式にしたもので、二千円ほど高くなっていて、音はまったく同じだと言う人もいれば若干違うという人もいた。色が紺になってしまうので、どうしても白が好きな人はK701を選んでしまうものらしい。Q701はクインシー・ジョーンズというアーティストのコラボモデルで、蛍光黄緑の色鮮やかなもののほか、K701と見た目がほとんど同じ白のカラーリングもあるが、コラボモデルの上に代理店を通さないといけないようで四万円台になってしまう。ちなみに代理店はどうやら二つあるみたいで、八万円台のほうと四万数千円のほうがあるらしい。日本でのセールスやサポートの費用を織り込んでも、ぼったくりな値段だと思うのが普通の感覚じゃないだろうか。

    本モデルの最大の欠点は、鳴らしにくいこと。能率が低いので、携帯音楽プレイヤーによってはボリュームをめいっぱい上げても十分な大きさにならない可能性があるほか、ボリュームは十分だとしても本製品の実力を十分に発揮できない可能性がある。どうしてもそれなりの性能を持ったヘッドホン端子が必要になる。出来れば専用のヘッドホンアンプか、あるいはヘッドホン端子の質がそれなりに高いと評判のプレイヤーやDACやプリメインアンプを選んだほうがいい。また、重低音が好きな人には物足りなく感じてしまうと思う。

    もう一つ注意しなければならないのは、通称コブと呼ばれるゴムのでっぱりがヘッドバンドにあり、高めの側圧とあわせて人によっては長時間の装着に耐えられない可能性がある。私もこれをつけていると地味に頭が痛くなってくるし、付け心地もあまりよくはない。耳を包み込むイヤーパッドは気持ちいいだけにちょっと残念。

    十万円以上するハイエンドのヘッドホンを除けば、ミドルレンジのヘッドホンの中では比較的安い値段で手に入り、弱点さえカバーできれば割と万能なのでお買い得な製品だと思う。エッジの効いたノイジーな音楽を楽しみたいのでなければ、一番目か二番目に勧めたいモデル。

    (最終更新日: 2016年6月8日 by ひっちぃ)

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