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    ONKYO

    傑作(30点)
    2011年4月17日
    ひっちぃ

    日本の音響機器メーカーONKYO(オンキョー)が2010年12月に販売開始したD/Aコンバータ。音声デジタル信号を受け取って音声アナログ信号に変換し、アンプやアクティブスピーカーなどに接続して音楽を聴く。USB入力がついていてパソコンに直接接続できるほか、同軸デジタル入力や光デジタル入力などを複数備え、CDプレイヤーなどの光出力を入れて音質の向上を見込める。

    ONKYOは以前は普通のオーディオ専業メーカーとして主に高級アンプも売っていたが、近年はミニコンポやPC製品に注力しており、あまり高い価格帯の製品からは一時撤退していた。経営危機に陥っていたパソコンメーカーSOTEC(ソーテック)を買収してオーディオPCなどますますPC製品に経営資源を注ぐ一方で、かつて高級アンプを設計していた頃のベテラン社員の引退を前にノウハウの継承も兼ねてセパレートアンプ製品を開発した。このD/AコンバータはそのセパレートアンプのうちのプリアンプについているD/Aコンバータ部分を独立した一つの製品として切り出して手を加えたものらしい。

    私は既にミドルエンドのD/AコンバータのC.E.C. DX71mk.2や音楽制作用のRME Fireface UCを買っていたのでもうDAC(D/Aコンバータの略)はあまり必要なかったのだけど、このDAC-1000が値段の割に音がよくモニター系(原音忠実)でありながら聴き疲れしないスッキリした音だという評判をネットで読んだので、安かったこともあり会話のネタにもできると思って家電量販店で69,800円で売られていたのを年始セールでポイント13%の頃に買ってみた。

    ネットの高い評判はそれなりに当たっていたと思う。確かにモニター系(原音忠実)っぽいキレのある音で、六万ちょいで買えるDACとは思えない良い音がした。ちなみにもっとも安い場所で一時期53,800円というところを見たけれどその後55,800円に戻りその後は知らない。同じONKYO製品で二万円程度のSE-U55GXを私は持っているのだけど、DAC-1000のほうが二回りぐらい良い音がする。聴き比べればはっきりと音の違いが分かる。

    直接競合する製品はたぶんBenchmark DAC1あたりだと思うのだけど、DAC1でUSB入力のついたラインナップだとDAC-1000の倍ぐらいの値段がする。DAC1と聞き比べたことがないのでなんとも言えないけれど、DAC-1000のコストパフォーマンスはかなり高いと思う。価格帯的にはC.E.C.のDA53Nあたりが釣り合うのだけれど、こちらは音の傾向が違うので好みで決めるといい。

    ただし欠点がいくつかある。

    まず、USB-DDCつまりデジタル-デジタル・コンバータとしても使えることがウリなのに、デジタル出力が光デジタル出力一つしかついていない。せめて同軸デジタル出力を一つ追加して欲しかった。

    ウリの一つとしてアップサンプリングつまりCDの44.1khzの信号を独自に88.2khzや176.4khzに変換して再生する機能がついているのだけれど、この機能はUSB入力では使えない。たぶん発売開始前に事前に評判を聞いて色々期待してこのDAC-1000を買った人が一番落胆したのがこの点だったと思う。2ちゃんねるでこの不満を何度も見た。

    ヘッドホン端子がついていない。まあ要らないっちゃ要らないのだけど、必ずアンプかなにかにつないで聴かなければならないのは、この価格帯の製品にしては珍しいと思う。

    これは私の個人的な感覚なのだけど、ずっと聞いていると何か狭さを感じる。DX71mk.2に切り替えると少し広くなってホッとする。広くなるというのは空間的なものではなくて音の再現性みたいなものだ。音声信号のレンジがやや狭いような感じがする。逆にDX71mk.2からDAC-1000に切り替えると少しシャープになる感じがする。

    モニター系の傾向が強いせいか、ボーカルがやや味気なく聞こえる。たぶん原音には忠実なのだろうけれど、音楽を聴くときにはやはり少し色づけされていたほうが良く聞こえてしまう。といってもこのDAC-1000もほんの少し色づけがあると思う。音楽を聴いていてトゲトゲしくは感じなかった。繰り返すけれど、キレがありつつスッキリしていて聴き疲れしにくい。ただ、少し安っぽいと感じる音でもあると思う。

    色々と書いてきたけれど、このクラスのDACになるともうミニコンポ程度につなぐのはもったいないレベルの音がする。それどころか、アンプとスピーカーに合計二十万以上つぎ込んだシステムじゃないと釣り合わないと思う。それでも真価を発揮するには足りない。もともとDACという機器自体があまり性能の差を感じにくいものなので、こいつを買ったからといって無条件にシステム全体の音がはっきりとよくなることを感じるのは難しいと思う。

    この値段でこれだけの音が出て、なおかつUSB-DDCとしてもしっかりしているので今後システムのパワーアップとしてUSB入力のついていないDACを買い足しても前段のDDCとして十分に使える。24bit 192khzまでと十分なスペックを持っている。先に挙げた欠点をカバーできるのであれば今後の定番となる優れた製品だと思う。まあデジタルの世界は進歩が速いらしいので保証はできないけれど。

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