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  • あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。

    長井龍雪監督

    いまいち(-10点)
    2011年7月3日
    ひっちぃ

    幼い頃によく遊んでいた仲良しの男女六人組は、そのうちの一人の女の子・めんまの事故死によって自然解散した。当時リーダー格の少年・宿海仁太は高校に行かずに家に引きこもっていた。そんな彼のもとへ、死んだはずの女の子・めんまがひょっこり姿を現した。昔の思い出を引きずる男女六人によるノスタルジックな群像ものアニメ。

    2011年4〜6月に放映されたアニメ作品のなかで一番目か二番目ぐらいに評判が良かったらしいのだけど、私を含めて少なくない人がこの作品の評価に対して疑問を持っているので、楽しんで見た人も多いんだろうけれどここで文句を言っておきたいと思う。

    亡くなった女の子・めんまがなにを心残りにしてこの世に戻ってきたか(?)という謎が中心となって話が進む。はたからみて明らかに両想いだった宿海仁太とめんまなのに、事故死寸前のやりとりで宿海仁太はめんまのことをブスだかブサイクだか言ってしまいバツが悪くなってその場を立ち去ってそのあとめんまが川に落ちて死んでいる。宿海仁太はそれを引きずって引きこもりになっているみたいだ。

    めんまのことが見えると言っているのは宿海仁太だけなので、みんなは最初めんまのことを宿海仁太の想像上の産物だと思っているのが面白い。みんなめんまのことが心の中で引っかかっているので、やたらめんまのことを蒸し返してくる宿海仁太のことをみんなが疎む。めんまはもう死んだんだと。

    六人組は死亡1放浪1低学歴組2高学歴組2に分かれていて、宿海仁太は低学歴組+引きこもり。同じ学校に通っている安城鳴子は宿海仁太のことが気になっている。この作品の構造として、安城鳴子→宿身仁太→めんま←別の男の子←別の女の子、ちょっと孤立してもう一人の男の子がいる感じ。だから宿海仁太がめんまめんまと騒ぐと現在の六人の秩序が壊れてしまう。

    結局六人組はめんまの存在を認めることになり、めんまを成仏させるために小さい頃に果たせなかった打ち上げ花火を上げようとする。しかしいくつか障害が立ちふさがったり、昔のことをいまさら蒸し返してもしょうがないとみんなの心が揺れたりする。めんまの心残りとは結局なんなのか。

    もうとにかくめんまがうっとうしくてしょうがない。みんなドロドロと悩んでいるのに一人だけ純真カラッポな感じ。序盤はめんまのかわいさで話を進めようとしているから余計にイライラする。

    最初から最後まで作り物の臭いがきつくて素直に楽しめなかった。登場人物たちの悩んでいる姿を見せることを第一の目的として設定から脚本から作り上げているからなんじゃないかと思う。そもそも子供なんてそっけないものだから、小学生(?)の頃の友達の死なんてそんなに簡単に引きずるものでもないと思うし、じゃあなぜ中学生の頃は問題なかったのか?そもそも小学生の頃の惚れた腫れたを本気で考えるだろうか?もし仮にあなたが過去に戻れるとして、中高生の頃に好きだった人を差し置いて小学生の頃に好きだった人を選ぶだろうか?

    事実上の主人公である宿海仁太の引きこもりにほとんどリアリティがなかった。既に母親が病死していて、家には妙にカマくさい同居人の男がいるだけ。高学歴組からの蔑視は良かった。ああいう敵意はゾクゾクする。

    登場人物たちが抱えていた想いを言葉にしすぎているように思った。特に最終話が露骨すぎた。ネットでは「詰め込みすぎ」という評価が多かったけれど、それ以前の問題だと思う。事故死前のやりとりを再現しようとするシーンは緊張感があってすごく良かったんだけど、結局最後は言葉の軽さが原因でぜんぜん感動につながらなかった。それになにかというと涙を流すし、最後の方になってくると一度に流す涙の量が半端なくて引いた。ラストは恥ずかしすぎてさっさと終われと思いながら見た。

    この作品がどのように作られたのか知らないけれど、アニメオリジナル作品につまらない話が多いのは、複数のスタッフがブレーンストーミングでそれっぽいものを寄せ集めて話を作ってしまうからだと思う。そうでなければよっぽど脚本家が下手なのか周りからの干渉を受けすぎるのかどちらかだと思う。アニメオリジナル作品自体がダメなのではなく、アニメならではの魅力を存分に追求できる脚本は原作つきでは無理だろうからそれはそれで発展していって欲しいけれど、やはり話としての面白さは何か小説やマンガの原作を借りてきてアニメのスタッフが脚色するほうがいいと思う。

    比較的どうでもいいことだけど、エンディング曲に既にヒットしたある程度有名な曲を持ってきているのはあざとすぎると思う。話がオリジナルなだけに余計ズルい。

    私はめったにアニメ作品の感想を書かないのだけど、それはアニメ作品の程度が知れているからで、この作品は良くも悪くも今の日本のアニメの力と限界を示していると思う。絵はきれいだし演技もうまくて雰囲気も良いのだけどそれだけ。それだけでも十分に楽しめる作品だってあって素晴らしいのだけど、話で勝負できてない。マンガや小説とくにライトノベルや最近だとエロゲーみたいなところから原作を借りてくるほうがずっといい。今期は個人的には特に「俺たちに翼はない」の登場人物たちの掛け合いが繰り返し聞いていたくなるほど素晴らしかった。話は最後グダグダになるけれどw

    (最終更新日: 2014年7月12日 by ひっちぃ)

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