マルモのおきて
フジテレビ
まあまあ(10点) 2012年2月6日 ひっちぃ
文房具会社に勤める冴えないサラリーマンの若い男が、学生時代の親友の子供を引き取って育てる話。テレビドラマ。
2011年に子役の芦田愛菜をブレイクさせて高い視聴率を取った。年末年始に再放送していたので全部見た。
子役のかわいいダンスのことばかり言われるので一体どんな話なのかさっぱり伝わってこなかった。というのもあらすじがたぶん第一話のネタバレになってしまうことが大きいのだと思う。いやそうじゃなくても人気作品の内容って当たり前すぎるのか誰も紹介してくれないことが多いよなあ。だからあえて最初に書いてみた。
題のマルモとは阿部サダヲ扮するダメサラリーマンの名前「まもる」がなまったもので、おきてはこいつが子供を引き取って育てるにあたって子供たちとの約束としてノートに書き綴っていくもので毎回話の最後らへんで追加されていく。
なんか最近この手の話が目立つなあ。アニメになった「うさぎドロップ」「パパの言うことを聞きなさい!」がまさにそんな話だし。
正直なところ、全部見ておいてこう言うのもなんだけど、それほど面白い作品とは思えなかった。芦田愛菜ともう一人男の子がいて確かにかわいいけれど、それ以上のものがないんだよなあ。芦田愛菜に特別な魅力があるわけでもないし。
物語は会社と家庭とその両方とで事件が起きて進んでいく。会社のほうは主人公は最初開発部に属していてバリバリ働いているのだけど、途中でお客様相談室に左遷され、電話で客の苦情を聞いて頭を下げるという理不尽に思える仕事をこなさざるをえなくなる。このへんの話、以前私は何かのノンフィクションで似たような話を読んだことがあるのでそれほど目新しくもなかった。でもそういうの読んだことがない人にとってはそれなりに面白く感じられる一要素なのかな。主人公は後輩にバカにされたり伊武雅刀の演じる人間のよくできた上司に見守られながら成長していく。
家庭のほうはまず子供を親族から引き取るまでの描写があり、そこから子供たちと絆を深めていき、時に子供とすれ違いながらも心を通わせていくという定番の流れ。子供たちはまだ幼いせいもあってか割とあっさりと主人公を保護者だと認める。早々に「マルモ」と呼び捨てにする。
恋愛沙汰も出てくる。主人公は料理屋(?)の二階に部屋を借りて住んでいる。台所とかあるから下宿ってわけじゃないみたいだけど、部屋の一部が最初開かずの間になっていたりする。どうでもいいか。その料理屋は父娘がやっていて、娘のほうは一度結婚したものの出戻ってきている。娘はまだ若く、主人公のことを好きになるというほどではないけれど悪からず思っている感じ。会社にはお客様相談室にマドンナがいて主人公は惚れてアプローチを試みる。
まあたぶんこの作品の肝は子役のかわいさなのだろうけれど、物語としての中心はやはり他人の子供を引き取って育てるということがどういうことなのか、というテーマをいくつかの状況下で描いている点だろう。子育ての問題に留まらず、一度子供を捨てた母親が戻ってきたらどうなるかだとか、仕事を犠牲にして子供をとるのかだとかが描かれる。中でも、他人の子を育てている男が女と交際して関係を深めていくことができるのか、というテーマは一番深く掘り下げられていてとても良かった。ただ、相手の女が主人公の男よりも背が高くてそんなに美人とも思えず引っかかったw
突き抜けた感動がなかった。私自身の感受性の衰えだろうか。逆に言えば、いかにも作りましたといった不自然な展開がなく、とても自然な流れで話が進む。ちょっと子供が賢すぎるというか、時々反抗するけれど基本的に物分りが良すぎるように思えるけれど、それはしょうがないか。
犬の「ムック」が人語をしゃべるのだけど、声がいかにも子供っぽくて棒なのでずっとイライラしていたが、最後になってその演出意図が明らかになった。といっても大したことじゃないのだけど、少なくとも子供の声にする意味があったことに納得した。
もともとあんまり制作費が掛かってなさそうだし、ジャニーズとかほとんど出てこなくて主演が喜劇俳優の阿部サダヲで、局はそれほどヒットを見込んでいたわけではないらしい。重いテーマを扱っているけれど、割と気楽に見られた。別に見なくても良かったなあという程度の作品なのだけど。
年末年始に三日ぐらいに分けて早朝から再放送していたのだけど、7話目の開始時間が早くて少し取り逃がした。もっと計画的に放映してほしいなあ。評判になったテレビドラマが再放送されるのはいいけれど、気づいたら二話目三話目だった、みたいなことが多くて見る気がなくなる。スポンサーの問題もあるのだろうけれど、面白いと評判になったドラマはちゃんと再放送してほしい。
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