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    Koi (芳文社 まんがタイムKRコミックス)

    いまいち(-10点)
    2016年6月13日
    ひっちぃ

    遠くの高校へ進学した少女ココアが、ラビットハウスという喫茶店に下宿しながらそこで働き、西洋風の石畳と上品な街並みのなかで個性的な仲間たちとほのぼのとした日常を繰り広げる。萌え4コママンガ。

    2014年にアニメ化されたのを見て、いまいち面白くないなあと思いつつしばらく見たものの、確か六話ぐらいで見るのをやめたのだけど、ネットの萌えアニメ界隈でもてはやされていたのでアニメ2期からまた見始めて完走した。で、とりあえず原作から再チェックしようと思って読んでみた。

    主人公の少女ココアは、おっちょこちょいで思い込みが強い女の子。下宿先のラビットハウスには、かわいくてしっかりものの年下の少女チノがいてかわいがるのだけど、チノのほうが成熟していてココアはちょっと見当違いなことばかりする。ココアは自分の方が年上だからとチノに対してお姉さんのように振る舞おうとする。なぜかというと、ココア自身にもやさしくて頼りになるお姉さんがいて、自分もそんなお姉さんのようになりたいと思っているからだ。まあ失敗ばかりするのだけど。

    チノは喫茶店ラビットハウスの一人娘なのだけど、なんと日中は中高生の女の子たちだけで切り盛りしている。いつも頭にティッピーというアンゴラウサギを載せているのだけど、こいつにはチノのおじいさんの魂が憑依しているという謎設定。動物化したからなのか丸い性格をしているが、触られるのを嫌がる。チノには父親もいて、夜に開店するバーのマスターをやっているが、昼間は姿を見せない。

    喫茶店ラビットハウスにはもう一人バイトの女の子でツインテールの女の子リゼがいる。こいつはなぜか傭兵キャラで、なんでも軍隊の話に持っていく。でも実家は金持ちで大きな家に住んでいるという。裏社会の住人なの?

    そんなリゼのことを後輩の女の子シャロがかっこいいと慕っているが、なかなかその想いを言い出せない。こいつはお嬢様学校に特待生として入ったほど頭がいいのだけど、見かけによらず家が貧しくて貧乏暮らしをしている。みんなからはリゼ同様にお金持ちだと勘違いされていて、貧乏なのを隠している。

    そのリゼの家の隣にある和風喫茶の看板娘が千夜で、唯一の大和撫子なのだけど、店のメニューに中二病っぽい詩的な命名をする子供っぽいところがある。

    このあたりまでが主要登場人物か。途中からチノの同級生のマヤとメグが登場してレギュラー入りする。基本的には喫茶店ラビットハウスが中心になっていて、同業者つながりで和風喫茶甘兎庵やシャロのバイト先のフルール・ド・ラパンが互いに張り合っているという感じ。主人公(?)のココアと同じ学校に通っているのは千夜だけで、リゼとシャロはお嬢様学校に、チノとマヤとメグは中学校に通っていて、学校はほとんど出てこない。話のタネは喫茶店関連が多い。

    他に準レギュラーとして、作家の青山ブルーマウンテン(笑)というお姉さんキャラがいて、社会人とは思えない間の抜けっぷりを見せて脱力させる。こいつはチノのおじいちゃんに世話になっていて、たまにティッピーから漏れるおじいさんの声の幻聴(?)を聞く。あとココアの姉もゲストキャラとして登場して(主にココアの心を)かき回す。

    この作品が他の萌えマンガと比べて際立っているのは、舞台が美しいヨーロッパ風の街並みであり、その中でかわいい少女たちが楽しく暮らしているところ。まともな男性キャラはチノの父親ぐらいしか出てこないし、こいつも顔の下半分だけの登場ばかり。少女尽くしが極まっている。

    基本的には萌えキャラたちによる緩いギャグマンガなのだけど、ココアのダメっぷりとそれを突き放すチノのふるまいは面白い。ココアが自分のダメっぷりをある程度自覚しているところがかわいい。いじけるときも身勝手に振る舞うところとか。

    既刊最新刊でのギャグの劣化が心配になった。色々と強引というか、オチまで持っていく流れに無理があるところが目立った。

    なんか色々と序盤の展開が唐突すぎて、読み始めた時にあまり作品に入っていけなかった。最初は結局1巻を途中で投げ出し、あとで時間を置いてから改めて読み直した。なんでこんなにとっつきにくいんだろう。

    自分にとってあんまりキャラに魅力を感じなかった。ココアとチノの関係性は面白かったけれど、それ以外で良い点があまり見つからなかった。リゼも千夜も悪い意味でマイペースだし、シャロの想いも閉じているし、喫茶店同士のライバル関係も中途半端だし、楽しめる要素に乏しかった。もっと色々と踏み込みあうほうが面白いと思う。たとえば、リゼは軍隊式の考え方を周りにもっと押し付けるとか、千夜もあきらめずに自分の店にココアを引き抜こうとしつづけるとか、シャロももっとアタックするとか、誰それの弱点を突くとか、より親密なコミュニケーションを見たかった。でも、そういう下品な(?)ギャグの少ないやさしい世界がこの作品のいいところなんだろうなあ。ココアにとってはあんまりやさしくないけど。

    まがりなりにも店を経営しているのに、仕事上のピンチとか失敗みたいなのがまったく描かれない。ふわふわ働いているだけ。作家の青山ブルーマウンテンは担当に追われるけど。

    親世代(?)での因縁みたいなものがほのめかされるのだけど、それについてほとんど描かれない。なにかしたかったんだろうか。

    絵はかわいいし、割と読みやすかった。

    萌えマンガがよっぽど好きな人以外は読まないほうがいいと思う。にわかの自分には結構ギリギリだった。あまりドタバタしていない作品が好きな人にはいいのかも。

    (最終更新日: 2019年6月1日 by ひっちぃ)

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