大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL アドベンチャーのみ
開発:HAL研究所、他 発売:任天堂
いまいち(-10点) 2019年8月10日 ひっちぃ
任天堂の歴代ハードウェアで遊べるゲームソフトの中から開発元の会社に関係なく人気キャラクターが大集合して戦い合う大人気対戦格闘ゲームシリーズの最新作。
尾久ユウキ「弱キャラ友崎くん」に出てくる主人公の友崎くんが、このゲームをモデルにしたと思われる「アタファミ」というゲームで日本一という設定で、色々と熱くプレイしたり語ったりしている描写があって興味が湧いたので、ほぼ発売と同時にこの最新作のダウンロード版を買って遊んでみた。思っていたほど楽しめなかった。
対戦格闘ゲームというとカプコンの「ストリートファイター2」が切り開いたジャンルで、これまで格闘技で対戦するゲームはあったけれど横スクロールアクションでCPUのボスと戦うのが主だったり、プロレスや相撲なんかで割と大味なゲーム性のためかカジュアルに楽しむものだったりしたけど、大きいキャラ同士がシビアなタイミングでキックやパンチや隙を見ての投げ技なんかを繰り出しあう奥の深いゲームであったことからゲームセンターを中心に大ブームとなった。
本作の最大の特徴は、名前にもあるように「スマッシュ」を繰り出すことで大ダメージを与えたり試合を決めたりすることによる。どのゲームにも必殺技はあるのだけど、先述のストリートファイターシリーズの場合は複雑なレバー操作が必要だったり、ナムコの鉄拳シリーズなんかだと左右の手足に一応対応している四つのボタンを順番にあるいは同時に押したりする必要があったりするのに対して、このゲームでは方向レバーを倒すと同時にスマッシュ用のボタンを押すだけというシンプルな操作になっている。
操作がシンプルだからといって奥が浅いというわけではなくて、キャラクターごとに色んな技が設定されていて、方向レバーと各種ボタンの組み合わせでキャラごとに十数種類の技が使える。
スマッシュは相手を吹っ飛ばす攻撃なので、相手を場外に押し出すのも有効な戦術となっている。場外というか下に落ちたら負けなので、はじき出されてもうまいこと空中で戻ることも出来るのだけど、そこを追撃したり逆に反撃にあって落っこちたりといった空中戦もある。このゲームではキャラによって違うけれど二段ジャンプが出来るので、一回ジャンプして攻撃を食らって落ちそうになってもそこからもう一度ジャンプすれば戻れたりするが、既に二回ジャンプしたあとで吹っ飛ばされると落ちるしかないといった駆け引きがある。
次に大きな特徴として、大乱闘とあるようにバトルロイヤル方式つまり二人だけじゃなくて三人や四人(最大八人)がそれぞれ全員敵という状況で生き残りをかけて戦うのがメインだということ。まあそうなると先に一番強そうなやつを倒しておこうとなるのでガチな大会ではこのルールではやらないと思うのだけど、友達同士がワイワイやるには都合がいい。自分が学生の頃は家で友達とダラダラやるゲームといえばストリートファイター2シリーズだったけれど、若い人たちの間ではこのゲーム通称「スマブラ」が定番だったらしい。なもり「ゆるゆり」で少女たちがこのゲームっぽいので遊んでいるシーンがあってほっこりした。
操作できるキャラクターがたくさんいて、強いキャラから弱いキャラ、扱いやすいキャラから扱いにくい通好みのキャラまで色々あるのでハンデをつけやすく、強い人は扱いづらいキャラを使う楽しみがある。任天堂のハードという縛りがあるので当然マリオが一番扱いやすく、他にカービィとかリンクとか定番キャラがいる一方で、Wii Fitのトレーナーの影絵風の女性とかワリオなどの敵ボスキャラなんかまで使える。バランス調整が大変そうなのだけど、実際強キャラ弱キャラとプレイヤーの間でランク付けが行われている。ベヨネッタが強すぎるとかネットでは色々と議論が盛んだった。
基本的に戦うだけのゲームなので、ネットで対戦相手を見つけて戦うモードが中心となるのだけど、一人プレイでワールドマップを攻略していくアドベンチャーという一人用モードもある。最初は使えるキャラが一種類だけなのだけど、マップ上に散らばっている特定の敵を倒すと使えるキャラが増えていく。操作するキャラだけでなくサポートするキャラもいて、それぞれの敵が持つ固有の縛り能力を打ち消したり特定の敵と有利に戦えるようになったりする。また、効率的に進めていくと弱すぎる敵も出てきてしまうので、こっちもわざと弱いキャラを使うことで得られるアイテムを増やすことが出来るようになっている。
自分はそのアドベンチャーしかやっておらずネット対戦は結局やっていない。対人戦をして楽しめるほど遊び慣れる前に飽きてしまったから。だからあくまでライトゲーマーとしての批評を書くことにする。
まず操作が難しい。操作が簡単なのがウリのはずのゲームなのに(?)、いままでストリートファイターシリーズや鉄拳シリーズやバーチャファイターシリーズやKOFシリーズやら色々それなりにやってきた自分がこのスマブラの操作を難しく感じた。単に年の問題なのだろうか。最近プレステ4でストリートファイターシリーズの最新作を遊んでみたときは普通に遊べたのだけど、単に体が操作方法を覚えていただけだったのだろうか。初めての人が波動拳やら昇竜拳やら練習するのに比べればこのゲームはまだ楽なんだろうか。
最初に戸惑ったのは、キャラの向きがなかなか思った通りにならなかったこと。このゲームは相手に背を向けることができる。というか、相手と間合いをとるために後ろに下がると相手に背を向けてしまう。これは乱闘なので当然だと思う。他の一対一の格闘ゲームの場合、常に敵は一人なので後ろに移動しても正面を向いたまま後ろに下がる。でもこのゲームの場合、敵がどっちにもいるかもしれないので向きが固定だと困る。だから下がったら進行方向つまり後ろを向くので攻撃するには後ろをふりむかなければならないのだけど、ちょっと押しただけだと振り向いてくれない。間合いを取ってからすぐに攻撃しようとすると思いっきり後ろ向いたまま攻撃してしまう。
小ジャンプという操作がなかなかできなかった。尾久ユウキ「弱キャラ友崎くん」の一巻で、ゲーマーの主人公がクラスのギャルに対してまずこれだけ覚えろと一点に絞って教えていた、方向レバーを上向きにちょんと倒すだけの簡単なはずのテクニックがなかなかできなかった。というか自分は結構練習したのだけどいまだに確実には出せないどころか成功する確率のほうが少ない。タイミングがシビアすぎる。レバーを倒し過ぎるんだろうか。この小ジャンプ、相手より高い打点で攻撃を繰り出すことが出来るのでヒットさせやすく、このゲームで敵を攻撃するときに常用する技となっているにも関わらず、なぜこんなに難しいのだろう。ネット対戦やるにはせめてこの技ぐらいちゃんと覚えないとダメだろうなと思っていたので、これが決め手となってネット対戦をやる気が起きなかった。
ほかに、よく分からない理由で有利に戦えたりいつのまにか負けていたりする。特に弱いCPUがたくさん出てくるステージでこれがよく起きる。たぶん自分がこのゲームのことをよく分かっておらずガチャプレイ(適当に操作して遊ぶ)しているからだと思うのだけど、にしても一体何が悪いのか分からない状況がよくある。
自分は最初カービィでやっていたのだけどちょっとクセがあるらしいので途中からマリオに絞ってひたすらプレイしていた。操作方法も一通り全部覚え、可能なときはガードもし、ヒットアンドアウェイでメリハリをつけて戦っていたつもりだったのだけど、それでもやはり操作感に納得がいかなかった。やり込んで強くなろうとは思えなかった。
キャラが小さいので、慣れないと技をヒットさせる場所が分かりにくい。
対空技と対地技の優劣がよくわからない。ほかにも色々と分からないことだらけなのだけど、しばらくプレイし続けていても何も掴めなかった。こういうゲームって、遊んでいて感覚的に分かってきたり身に着いていったりしないとダメだと思う。単に自分が若くないからなんだろうか。負けてもなぜ負けたのかなんとなくでも分かって次にどうすればいいのか分かれば面白くなっていくと思うのだけど、自分の場合このゲームでそこまでいくことはなかった。
もっと時間を掛けてじっくり遊べばだんだんコツがつかめてきて面白くなるんだろうか。
というわけで、若い頃にこのシリーズに慣れ親しんだ人なら十分楽しめるかもしれないけれど、少なくとも初期の格ゲー世代の人間がちょっと手を出してみてもあまり楽しめないんじゃないかと思う。
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