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  • NHKスペシャル「全貌 二・二六事件~最高機密文書で迫る~」

    日本放送協会 (NHK総合 2019.8.15 19:32~)

    傑作(30点)
    2020年1月11日
    ひっちぃ

    旧日本海軍が秘密裏に作成していた文書が86年ぶりに発見されたとのことで、大戦前に起きて失敗に終わった軍事クーデターである二・二六事件での各組織の細かい動きを再現して追ったドキュメンタリー番組。

    正直それほど興味があったわけじゃないけれど、終戦記念日前後にこの手の番組がよく放送されるのでとりあえず録画しておき、あとで話題になったら見てみようぐらいに考えていた。結局ほとんど話題に上がらなかったので、年を越してようやく見てみた。おもしろかった(ゲラゲラ笑ったわけじゃないけど)。

    二・二六事件というと陸軍の若手将校が決起した事件として教科書に書かれており、結果的に軍の力が強まったぐらいにしか知らない人が多いと思う。もうちょっと知っている人だと、陸軍の中には皇道派と統制派という派閥争いがあったことや、天皇がどの程度政治に影響力を持っていたのかということを知識として持っているかもしれない。しかし海軍が事件にどのように関わっていたのかまでは知らないのではないか。

    あんまりだらだら書く気がないので自分のための備忘録ぐらいに書いておきたいだけなのだけど、この番組の要点として海軍は事件の一週間前から具体的な首謀者の名前や襲撃対象まで掴んでいたこと、事件が発生してからも各所に人を配して情報を集めていたこと、そして大きな内戦になる可能性も考えて実際に艦隊を東京湾に入れ、大砲を国会議事堂に撃つことも想定していたことを挙げて詳細に追っている。

    あとは、陸軍上層部の中でも対応に苦慮した様子や、決起した若手将校たちが上層部だけでなく海軍と交渉したり、天皇の意志を知ろうとして軍人皇族と接触しようとしたりしたことが、海軍の諜報網から具体的に浮き上がっている。

    自分が一番衝撃を受けたのは、陸軍と海軍とが衝突する可能性もあったのだということ。「軍部」とひとくくりにしてしまいがちだけど、戦前戦中の旧日本軍は陸軍と海軍が別々に動いていた。海外からそれぞれ同じ技術を買い付けていたり、陸軍が軍艦を作ったり海軍が戦車を作ったりしていた。作戦で協力することはあっても、互いに自分たちのことばかり考えて動いていた。そういうのはちょっと知っている人にとっては当たり前の知識なのだけど、二・二六事件のときはヘタすると陸軍対海軍の内戦になる可能性があったということに驚いた。

    たぶん海軍としては、陸軍が政権をとろうとしているのかどうかを慎重に見極めていたのだと思う。海軍にとって最悪の事態は、陸軍が政権中枢を握ることで、そうなると自分たちの首根っこを掴まれてしまう。また陸軍のほうは、事件が失敗に終わったあとで速やかに事態を収拾して責任がなるべく自分たちに及ばないようにしたらしいので、逆に言えば海軍はこの事件を利用して陸軍の力を削ぐ機会をうかがっていたのだろう。

    なにげに映像化が素晴らしかった。艦隊の陣形まで図示していて分かりやすいし、役者を使って当時の雰囲気を再現していて迫力があった。まだ存命している関係者の肉声を淡々と伝えているところもよかった。

    ところで、いずれ終戦直後のことがもっと明らかになると思う。たぶん日本で共産主義革命が起きた可能性もあったと思うし、アメリカ軍が駐留し続けたのもそれを警戒してのことだと思う。のちの自衛隊となる警察予備隊だとか政府やGHQなんかの動きで、まだ明らかになっていないことは多いんじゃないだろうか。日本が再軍備したら、赤色化した幹部がクーデターを起こして政権を握る可能性があったと思う。実際朝鮮半島がそうなったわけだし。でもグローバリズムやネオコンやディープステートなんかは自分の生きているうちに真相がおおやけになることはなさそう。「怪しい」(とされる)情報を見て色々と推測することはできるけど。

    いま日本でクーデターを起こすとしたらどうしたらいいのか考えることがあるのだけど(!)、失うものがない人を百人ぐらい集めて首都圏の鉄道の運行を一週間ぐらい妨害しつづけたら政権を揺さぶることが出来るんじゃないかと思う。3.11の大地震のときに自分は晴海に居たのだけど、会社にいたほうがいいと言われたにも関わらず早く帰りたかったので、仕方なく銀座から国会議事堂のあたりを通って新宿まで歩いた。もし都心に勤めるサラリーマンが通勤中に動けなくなったら、そのまま永田町とかへの超大規模なデモになると思う。もちろん政治への不満がかなり高まっていることが大前提なのだけど。ただ、政権が転覆したとして、もはや天皇が親政をすることは出来ないので、憲政のもとで一体誰がどうやって権力を握るのだろうか。朝日新聞社や立憲民主党などを中心に、中国の施政下に入ろうなんていう世論が形成されたりするんだろうか(笑)。このまま日本が没落しつづけたら、そんな未来もあるのかもしれない。

    こういう素晴らしいドキュメンタリーを作るNHKは国有化して税金で運営すべきだと思う一方で、バラエティ番組や4K8Kの研究開発なんかは独立採算でやらせるべきだと思う。
    特に電通や吉本に利益供与しているも同然のスポーツとお笑い関係はただちにスクランブル化し、見たい人だけ視聴料を払って見る形式にするのが筋だと思う。

    [参考]
    https://www6.nhk.or.jp/special/
    detail/
    index.html?aid=20190815

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