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  • ゼノブレイド2

    開発:モノリスソフト 制作:任天堂

    いまいち(-10点)
    2021年1月3日
    ひっちぃ

    雲海を泳ぐ超巨大生物の中に人々が街を築き暮らす架空の世界アルストで、身寄りのない少年レックスは雲海に沈む宝を引き上げるサルベージャーとして身を立てていたが、あるときやたら割のいい仕事を指名で引き受ける。その仕事でレックスは謎の少女ホムラと出会うが、彼女を付け回す危険な連中に狙われる。レックスは彼女の望みを叶えてやるために「楽園」を目指す。コンピュータRPG。

    任天堂のWii対応ソフトとして10年前に発売された一作目がスクウェア・エニックスの大ヒットMMORPGファイナルファンタジー11をオフラインにしたかのような素晴らしいゲームシステムとやり込み要素で多くのマニアをうならせたと聞いていたので、やってみたいなあと数年ぐらい思い続けていたのだけど、いまさらWiiのソフトをやるのもなんだし人気作ゆえか在庫管理がうまくいったか知らないけれどほぼ定価のままずっと売られていたので手を出さなかった。そのうち新3DSに移植され、こちらはあまり売れなかったみたいで割とすぐに投げ売りされだしたのだけど、今度は対応ハードの新3DSを持っておらず一緒に買うほどのものかと考えてスルーした。時は流れ、Nintendo Switchでファイアーエムブレム風花雪月を発売直後に欲しくなったけど定価で買うのは嫌だなあと思っていたときに、Nintendo Switch Online加入者のみの特典であるニンテンドーカタログチケットを買えばセカンドパーティまでが開発したソフトを二本9,980円で引き換えられるというので、本当は一作目のほうを先にやりたかったのだけどこの2のほうからやってみることにした。例によって(?)一年以上積みゲーしてからようやくプレイしてクリアした。いまいちだった。

    最初、主人公の少年レックスが仕事の拠点にしている超大型船の都市国家(?)アヴァリティア商会から物語が始まる。ゼルダのブレスオブザワイルドをクリアしたばかりの自分には最初フィールド操作がフワフワした感じで落ち着かなかったけれど(重力が小さかったり歩く速度と同じ速さで泳げたり)、巨大な木造船の中で人々がごちゃごちゃと生活している独特な雰囲気は結構いい感じだなと思った。

    フルボイスではないけれどかなりのシーンに声があてられており、情けない少年を演じたら第一人者(?)である下野紘が主人公の少年レックスの役をやっている。リアルタイムレンダリングだけどフルムービー(何も操作しなくても流れ続ける)のイベントシーンが結構あり、ボイスをスキップできないのでちゃんと見るか丸ごとスキップするしかないのだけど、しっかりと作り込まれていてキャラ同士のやりとりを楽しめた。

    だから余計にストーリーのダメさ加減が残念に思う。

    舞台となっているアルストという世界には「ブレイド」と言われる人間のようで人間でない存在が人々の中に溶け込んで暮らしているのだけど、こいつらの存在が物語の中で重要な要素として描かれていて意味不明だった。ブレイドには必ず「ドライバー」と呼ばれるマスター(主人)がいて、ブレイドはマスターの言うことを聞いて一緒に戦う文字通り剣のような存在なのだけど、マスターが死ぬとコアクリスタルと呼ばれる石っころに戻り、次のマスターに同調されると以前の記憶が一切失われた状態で復活して新たな主人に仕える。

    これって現実の世界にあるなにがしかの人間関係をほのめかしているんだろうかと思ったけれど、これに近い関係が思い浮かばなかった。こういう存在を描くことによって、なにかしら人間関係の美しさやほろ苦さみたいなものをすくいとってみたかったんだと思うけど、多分自分を含めた多くの人は置いていかれたと思う。過去のことを思い出せなくて悩んだり、かつての自分とマスターとの間にあったであろうことを大切に思っていたりといった感情のうねりを見せたかったんだろうか。こういう設定だけで人の心を動かそうとするのはSF好きの悪いところだと思う。

    ヒロインのホムラはそんなブレイドの中で最強の存在である「天の聖杯」の一人で、世界を滅ぼしうる強力な力を持っているので謎の組織イーラなどに狙われる。そんな中で彼女は主人公のレックス少年に対して「楽園」に連れて行ってくれと頼むんだけど、もう最初からボーイミーツガールを前提とした荒唐無稽なストーリーラインで押し切られてしまい、とにかく女の子のためにがんばるんだとばかりにレックス少年は突き進んでいく。その間、自分の弱さにも直面してくじけたりもするのだけど、それを含めて終始うんざりしながら物語を追った。

    謎の組織イーラの連中の設定や振る舞いが訳わからない。安っぽいアニメのようにやたらと余裕しゃくしゃくで独自の論理に基づいた振る舞いをしてきて主人公たちをバカにし、ホムラの望みを叶えたい少年レックスの心をくじかせようとする。と思ったら終盤になって急に彼らにスポットライトを当て、裏ボス(?)との戦いで一生懸命に生きる姿を描いている。彼らの戦艦が最後ロボットに変形して戦ったあげく感傷たっぷりに散ったのを見た時は、もうとっくに見限っていたのでうんざりもせずただただ虚無の心でイベントをながめていた。

    メインストーリーだけじゃなくてサブストーリーの扱いの各種クエストも一部をのぞいてひどかった。一言で言うと、主人公がお人よしすぎ。依頼をしてくる町の人も図々しすぎる。あれをやってくれと言われてやったら今度はこれをやってくれと言われてクエストがダラダラと続いていく。まあそういう主人公なんだってことなんだろうけど、そんな主人公に当たり前のように色々と押し付けてくる人々ばかりでうんざりした。

    というわけなのでストーリーはあきらめてゲームのシステムを楽しむしかないんだけど、システムも基本的にはよく出来ているものの随所でおかしかったり面倒だったりいい加減だったりしてそんなに楽しめなかった。

    武器は「ブレイド」が持っているものを「ドライバー」が使い、ブレイドが必殺技を出すときだけブレイドに渡すようになっている。ブレイドにはそれぞれ固有の武器種があり、剣だったり斧だったり刀や槍やボール(?)や銃なんかがある。コアチップと呼ばれるアイテムをブレイドに使用することによって武器の名称と性能が変化するようになっている。つまり、剣や斧などを直接入手することはなく、一度使用したコアチップはなくなるので再利用できない。武器が消費アイテムなのは違和感があるけれど、これはこれで合理的なシステムではあると思う。

    一方で防具はキャラごとにスロットが1~3個まであって、入手したアクセサリーを好きなように身につけることができるようになっている。じゃあ戦略性があるのかというと、自分はほとんど活かせなかった。まずアクセサリーの数が多すぎる。雑魚との戦闘でも割とあっさり手に入ってしまう。また、同じ名前で性能の数値だけ若干異なる複数のアクセサリーが存在する。各アクセサリーに一種類ずつ特定の効果ついていて、効果の種類がいっぱいあるので埋もれてしまう。種類分けはあるけれどソート(並び替え)ぐらいでしか整理できない。装備したいアクセサリーを捜すのがしんどい。じゃあ要らないのは売ればいいじゃんとなるわけだけど、どこで必要になるか分からないのでとがった性能のアクセサリーは処分できない。悪疫を90%ガードするアクセサリーは、悪疫を使ってくるネームドモンスター(強敵)との戦いで必要になるかもしれない。だから最低でもパーティ人数分持っておかなければならない。同じアクセサリーが何個あってもまとまってくれないのでずらずらと並ぶ。

    敵を倒すとお金やアイテムを落とすのだけど、それがいちいちフィールド画面に転がる。だから毎回拾い集めなくてはならない。微妙に当たり判定が狭いのでイライラする。しかも時間が経つと消えてしまう。二体以上の敵と戦うと、一体倒したら落としたアイテムをすぐに拾い集めなければならない。宝箱をあけても中身が散らばる。こんなことやって何が楽しいんだろうか。何のアイテムを手に入れたのかも表示がすぐ消えてしまうので、訳も分からずどんどんアイテムがたまっていく。

    戦闘は基本的には一体の敵をみんなでボコるスタイルになっている。これは影響を受けたっぽいファイナルファンタジー11と大体同じ。オートアタックなので敵の近くで攻撃態勢を取ると自動的に一定の間隔ごとに武器を振って攻撃してくれる。それだけだと見てるだけで暇だろうということで、武器を振るアニメーションに合わせて「アーツ」という小技を出すことで「キズナ」という必殺技ゲージみたいなものがたまっていく。

    ゲージがたまると「ブレイドアーツ」というブレイドの技を出すことが出来るようになる。ブレイドアーツにはそれぞれ属性があり、一定の順に繰り出すと「ブレイドコンボ」が発動して大ダメージを与えられるとともに敵の特定の行動を封印する特殊効果が発生し、さらには「属性玉」という特殊な状態を付与させることができる。この属性玉は、同じ攻撃を重ねると与えられるダメージが徐々に減っていってしまうマイナスの効果がある一方で、「パーティゲージ」という別のゲージがフルにたまったときに発動できる「チェインアタック」という連続攻撃の中で「割る」ことが出来て攻撃をより長く続けることが出来るようになる。

    なんとさらにドライバーにも「ドライバーコンボ」があり、ドライバーが使える「アーツ」の中で「ブレイク」「ダウン」「ライジング」「スマッシュ」という四つの「リアクション」を持ったものを一定時間内に連続で繰り出すとこれまた大ダメージを与えることができ、そのうえブレイドコンボと重ねることでさらに相乗効果が出る。

    システムが複雑すぎる!

    一応展開が進むごとにこれらが順を追って一つずつ説明されるので都度理解すればいいのだけど、自分はそもそも最初のブレイドコンボの時点でよく分からなかった。画面の右上にブレイドコンボの現在の状況が表示されるのだけど、うまくコンボがつながってもただ右上の情報が少し書き換わるだけ。コンボ後にボーナスダメージがポップ(出現)するんだけど、数字だけなのでコンボの効果じゃなくてブレイドアーツ自体のダメージなのかと思っていた。ファイナルファンタジー11だったらコンボのつながり自体に「切断」とか「炸裂」とかの名前があってそれが分かるエフェクトが出ていたけれど、そういうのが何もない。

    ドライバーコンボは最初の「ブレイク」から「ダウン」につなげるのはチュートリアルで丁寧に説明してくれるのですぐに分かり多用したけれど、そのあとの「ライジング」を出せるブレイドを普段使っていなかったので出せなかった。「スマッシュ」までつなげるのは結構大変なので自分はあきらめた。

    「ブレイド」にはコモンブレイドという雑魚と、レアブレイドという独自のグラフィックスを持つ個性的で強いのがいる。育てる価値があるのは基本的にレアブレイドだけなので普段レアブレイドしか使わないのだけど、レアブレイドは一部を除いて運で出現するので誰が味方になるのか分からない。だからコンボをつなげやすいかどうかも運次第となる。

    コモンブレイドの中にはレアブレイドよりも強くなるものもあるらしいけれどごく一部みたいで、主に「傭兵団」という遠征っぽいシステムで活躍する。ストーリーの途中で傭兵団を引き継ぐことになり、ブレイドを最大6人集めて部隊を作って派遣し、お金やアイテムや経験値を手に入れることが出来るほか、一部のクエストも進行させられる。また、フィールドスキルというのがあってフィールド上に落ちているアイテムを拾うときにボーナスが入るほか、特定のフィールドスキルがないと通れない場所があるので通過するのに必要になる。二軍三軍のブレイドが活躍できるのはいいのだけど、フィールドスキルはドライバーに「エンゲージ」させていないと発揮できず、一人のドライバーに2~3体までしかエンゲージできないのでそのたびに入れ替えをしなくてはならず面倒くさい。

    最初に書いたとおり戦闘は基本的に一体の敵をみんなでボコることになるのだけど、エンカウント制ではないので戦闘中に他の敵が攻撃してくることもある。その場合、順に倒していくしかない。弱めの敵と戦っているときはそれでも問題なく対応できるのだけど、ちょっと強めの敵がいる場所に来た場合はもう逃げるかやられるかしかなくなる。ファイナルファンタジー11だと寝かせたり足止めしたりする手段があるのだけど、このゲームにはそういうのが何もない。なぜかやたらレベルの高い敵のいるエリアが隣接していて、まだ中盤なのにレベル80台の敵が絡んでくるともうやられるしかなくなる。

    序盤でハナという「人工ブレイド」が仲間に加わるのだけど、こいつを強化するにはひたすらミニゲームをやらなくてはならない。時間の無駄なので自分は早々にあきらめた。こいつを育てなくてもゲーム全体には大して影響がない。でもハナ自体はかわいかった。

    通常のブレイドは「キズナリング」と呼ばれる扇形の表を内側から埋めていくと成長させることが出来る。表の中に一つ一つ条件が設定されていて、特定の技を何回出すとか、特定の敵を何体倒すとかの条件を満たすと埋まっていく。その特定の敵の中には特定の天候のときしか出現しないものも含まれているので、散々フィールドを探し回っても見つからないことがある。ただ、前述の「傭兵団」に派遣してやると条件に関係なくランダムで埋まるので脱力した。といってもホムラなどの重要なブレイドは傭兵団に出せないので地道に探すしかない。

    なんかもう欠陥しか見当たらないのだけど、部分的に優れた点もそれなりにある。まず、オープンワールドなので街も野原もダンジョンも同一エリア内であればシームレスにつながっている。また、一度訪れたワープポイントには好きな時に移動できる。さらに、敵にやられたり高いところから落ちて死んだりしても唯一の例外を除いてゲームオーバーにならず直前のワープポイントから即再スタートできる。カジュアルでとても現代的なシステムだと思う。

    フィールドがとても美しい。舞台となる世界アルストでは大陸の代わりに超巨大生物の体内を歩き回るのだけど、緑がうっそうと茂るグーラ、水場の多いインヴィディア、岩肌だらけのスペルビア、雪と氷に覆われたルクスリアといった自然豊かなフィールドが広がっている。ダンジョンもよく出来ていて、探検していて楽しかった。

    街の人が違うセリフをしゃべるようになったら黄色い星マークがつくのがなにげに便利だった。これがなかったら多分新しいセリフをしゃべるかどうか何度も話しかけて同じセリフを聞かされたと思うとすごく大きいと思う。他のゲームもマネしてほしい。あと、イベントやストーリーの進行とともにフィールド上に人が現れたり消えたりするのが結構こまめに処理されていて地味にすごいと思った。

    音楽はあの名作スクウェア「クロノトリガー」の曲を作った光田康典がメインで担当しているらしいけど、サウンドトラックを見てみたら数曲程度しか書いていなかったので主に全体を見ているだけっぽい。一番印象に残ったスペルビアのフィールド音楽やボス戦の曲とかは平松健治という人が書いたものだった。他にACEというグループの二人組と清田愛未という人が書いている。オーケストラっぽい曲が多いけれど、どの曲もどこかしらキャッチーで親しみが持てた。ギターがギンギン(死語)のかっこいい曲もあって良かった。

    各キャラクターは背景のストーリーがいまいちだったけれど振る舞いは良かった。ヒロインのホムラもヒカリもテンプレ(型どおり)すぎてまったく惹かれなかったけれど、猫娘(?)ニアのツッコミやあきれた態度がかわいかった。ジークとサイカは登場時の脚本演出がベタすぎてしらけたけれど、仲間になってからの振る舞いは良かった。関西弁キャラでノリ突っ込みも楽しいしここまで魅力的なのはなかなかいないと思う。メレフは男装の麗人ってところがベタだけど抑えめなので普通に楽しめた。カグツチがなにげに魅力的で、ステータス画面の絵のたたずまいに目を引かれた。これでストーリーが良かったらきっと心に残っただろうなあ。

    自分は平均レベル72程度でクリアしたけれど、ネットだと62ぐらいでもクリアできると言っている人がいた。レベル72でも三回ぐらい全滅したので(!)、うまい人じゃないと62では無理だと思う。傭兵団クエストで放置した時間も含めて130時間程度でクリアした。クエストはいくつか放置した。というかレアブレイドを全員手に入れていないのでブレイド固有クエストもやってないことになる。レベル90台の敵もいるしネームドモンスターも残っているのでまだまだやり込み要素がある。自分はもういいやってなったけど、システムに慣れ親しんで突き詰めていくことが楽しいと思える人ならまだまだ遊べるんだと思う。

    大作RPGとしてのボリュームはあるけれど、これをいまだにフルプライスで売っているのは正直理解できない。この出来なのだからせめて五千円ぐらいに値下げすべきだと思う(自分のようにニンテンドーカタログチケットを使えば実質五千円だけど)。というか任天堂が噛んでいるんだからせめて細かいところはもっとどうにかならなかったんだろうか。スクウェア系のスタッフが多く在籍する貴重なセカンドパーティだからあまり口出しできなかったんだろうか。

    とまあ不満が多かったけれど、やっていて楽しい時間というのはあったので、コンピュータRPGが好きだという人なら遊んでみてもいいかもしれない。そうでないならスルーを推奨する。

    (最終更新日: 2021年1月3日 by ひっちぃ)

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